英国政府は、新しい電子渡航認証(ETA)の料金を値上げする案を発表した。現在10英ポンド(約1,000円)のETAが、60%増の16英ポンド(約1,000円)に引き上げられる可能性がある。この動きは、旅行業界の関係者や潜在的な旅行者から大きな懸念を集めている。
値上げについて
英国の新たな安全保障措置の一環であるETAは、ビザなし渡航者の必須要件である。観光、ビジネス、家族目的の短期滞在を許可する。EUが間もなく導入するETIASと同様、ETA制度は2年間有効である。
システム導入からわずか数日後、値上げ案が議論を巻き起こしている。政府関係者は、管理コストをカバーし、セキュリティ対策を強化するために値上げが必要だと正当化している。さらに内務省は、値上げしても世界の同様のプログラムに対して競争力を維持できると主張している。しかし、この発表のタイミングは、特に観光と航空セクターから眉をひそめられている。
IATAからの反対
特に、国際航空運送協会(IATA)は値上げ案に強い反対を表明している。同協会は最近の声明で、インバウンド旅行と観光地としての英国の競争力に悪影響を及ぼす可能性を強調している。さらに、観光団体からは、特に主要市場である欧州連合(EU)や米国からの旅行者を抑止することへの懸念の声も上がっている。
「IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「ETA制度が導入されたわずか1週間後に、ETA費用の値上げを提案するのは不可解だ。「もし実施されれば、英国の観光競争力に自ら打撃を与えることになる」と述べた。
ウォルシュはまた、2024年に英国政府が観光客を30%増やす計画を打ち出したことを指摘した。これにより、2030年までに5,000万人の観光客を増やすことを目標としている。
値上げの潜在的影響
さらに、多くの関係者は、値上げがパンデミック関連の観光損失からの英国の回復を弱体化させかねないと懸念している。以前はビザなしで入国できたEU加盟国の国民も、費用の上昇により入国を考え直すかもしれない。これは、インフレや経済の不確実性といった他の要因と相まって、英国の観光収入に大きな影響を与える可能性がある。
しかし、英国政府の決断は揺るがない。関係者は、ETAは国境管理を改善し、訪問者の体験を向上させると強調している。さらに、納税者の税金に頼ることも少なくなる。英国のETA値上げ案が歓迎されたのとは対照的に、旅行者は乗り継ぎ客のETA料金の一時免除を歓迎した。
とはいえ、批評家たちは、この値上げは英国が外国人観光客に開放的であることについて複雑なシグナルを送るものだと主張している。すでに高い営業コストに苦しんでいる航空会社は、追加された費用が乗客の足かせとなり、フライト需要が減少することを恐れている。
今後の展開
英国議会は、この提案にゴーサインを出す可能性がある前に、まだこの提案を議論する予定である。一方、業界の専門家はバランスの取れたアプローチを求めている。段階的な導入や、頻繁に旅行する人に対する手数料の引き下げを検討するよう政府に求めている。同時に、擁護団体は、旅行者の混乱を最小限に抑えるための明確なコミュニケーションの重要性を強調している。
写真:Jamie QuirkeonUnsplash